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大阪地方裁判所 平成4年(わ)1403号 判決 1992年11月10日

本店所在地

大阪市此花区四貫島一丁目七番四号

法人の名称

株式会社植西

代表者住居

大阪市此花区四貫島一丁目七番四号

代表者氏名

植西俊一

本籍

滋賀県甲賀郡信楽町大字柞原三四五番地

住居

大阪市此花区四貫島一丁目七番四号

会社役員

植西茂子

昭和六年六月二四日生

主文

被告人植西茂子を懲役一年六月に、被告人株式会社植西を罰金二六〇〇万円に処する。

被告人植西茂子に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社植西(以下被告会社という。)は、資本金一〇〇〇万円で、大阪市此花区四貫島一丁目七番四号に本店を置き、パチンコ業等を営むもの、被告人植西茂子(以下被告人という。)は被告会社の取締役として経理事務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和六二年七月一日から同六三年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙(一)の修正損益計算書記載のとおり、一億〇五九八万五六四〇円で、これに対する法人税額が、別紙(四)の税額計算書記載のとおり、四三二四万六四〇〇円であるのに、パチンコ業の売上の一部を除外するなどの不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年八月二四日、大阪市福島区玉川二丁目一二番二八号所在の所轄大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙(一)の修正損益計算書記載のとおり、七八一万六二八三円で、これに対する法人税額が別紙(四)の税額計算書記載のとおり二〇三万七五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙(四)の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税四一二〇万八九〇〇円を免れた、

第二  昭和六三年七月一日から平成元年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙(二)の修正損益計算書記載のとおり、一億三一一二万八六一七円で、これに対する法人税額が、別紙(五)の税額計算書記載のとおり、五四一一万三七〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年八月二九日、前記大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙(二)の修正損益計算書記載のとおり、二一二五万五三一八円で、これに対する法人税額が別紙(五)の税額計算書記載のとおり七九六万七一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙(五)の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税四六一四万六六〇〇円を免れた、

第三  平成元年七月一日から同二年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙(三)の修正損益計算書記載のとおり、八四四八万九八〇九円で、これに対する法人税額が、別紙(六)の税額計算書記載のとおり、三二六六万六七〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年八月二九日、前記大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙(三)の修正損益計算書記載のとおり、二四四三万九七二八円で、これに対する法人税額が別紙(六)の税額計算書記載のとおり八六四万六七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙(六)の税額計算書のとおり、右事業年度の法人税二四〇二万円を免れた。

(証拠)( )内の漢数字は、検察官請求番号である。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告会社代表者植西俊一の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する平成三年二月一五日付け、同年四月四日付け、同年五月二四日付け、同年七月二日付け二通、同月四日付け、同年八月二一日付け、同月二三日付け、同月二九日付け二通、同年九月三日付け、同月一〇日付け、同月二一日付け各供述調書及び検察官に対する供述調書

一  被告会社代表者植西俊一の大蔵事務官に対する同年五月二四日付け、同年八月二九日付け、同年九月三日付け各供述調書

一  松尾昌卓、鈴木昭二、大庭泰二、西村芳行、岩月精一の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の平成三年九月七日付け、同年七月一七日付け、同年八月二二日付け、同月二三日付け、同年九月九日付け、同月一二日付け(一七)、同年七月八日付け(一八)、同年九月一一日付け(一九)、同年七月八日付け(二〇)、同年九月一一日付け(二一)、同年七月八日付け(二二)、同年九月一一日付け(二三)、同年七月八日付け(二四)、同年九月一一日付け(二五)、同月一二日付け(二六)、同年八月二七日付け(二七、二八)、同年九月五日付け、同月一〇日付け(三一、三二)各査察官調査書

一  検察官作成の査察官調査書補充説明書

一  検察事務官作成の報告書

一  大蔵事務官作成の同年一一月二二日付け証明書

一  登記官作成の法人登記簿謄本(六一)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の平成三年九月二四日付け証明書(四)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の平成三年九月二四日付け証明書(六)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の平成三年九月二四日付け証明書(八)

判示第一、第二の各事実につき

一  大蔵事務官作成の平成三年八月二七日付け査察官調査書(三〇)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の平成三年九月一六日付け査察官調査書

(法令の適用)

被告人の判示各所為は法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、各所為につき法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により、同条二項を適用して罰金額をその免れた法人税の額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金二六〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(出席検察官) 宮下凖二

(出席弁護人) 滝口克忠

(裁判官 田中正人)

別紙(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

<省略>

別表(四)

税額計算書

<省略>

別表(五)

税額計算書

<省略>

別表(六)

税額計算書

<省略>

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